ファシリテーション・グラフィック研究会

シナリオ・プランニング×ファシリテーション・グラフィックで、10年後の未来をみんなで描こう

こちらは、定期的に開催しているファシリテーション・グラフィック(以下、ファシグラ)の研究会です。  ここでは、ファシグラのことを全く知らないAさんが初めて体験した時のことをレポートでご紹介してくださいました。そんなある研究会の1日の様子です。

この日のテーマは、「ファシグラ× シナリオ・プランニング」です。ファシグラを使いながら、10年後の未来について各班で考えました。ファシグラという言葉は聞いたことがありますが、全く知らない私は一抹の不安を抱えながらイベントに参加しました。

スケジュール

  • 10:00 チェクイン、アイスブレイク
  • 11:30 ファシグラ、シナリオ・プランニングを学習
  • 12:30 昼食
  • 13:30 シナリオ・プランニング
  • 16:00 振り返り・チェックアウト

ファシリテーショングラフィック(以下 ファシグラ)って何?

ファシグラ当日の様子

午前中はファシグラの方法やシナリオ・プランニングについて学びました。まず考えたのは、ファシグラと聞いてイメージすることです。参加者の方々からでた意見は “場の鏡・議事録・議会に参加してない人がみてもわかるものetc...”何かを筆記するようなイメージが多数でました。

ファシグラをする上で 大切なことは …

ファシグラの実際の写真

・ファシグラは議論を活性化させるものであり、それぞれの情報がどのようにつながっているのか分かりやすくすること。
・文字だけでは伝わらない部分(価値観や考え方)といった抽象的なものをイラストで表すこと。
この2点です。議事録ではわかりづらい、“場の勢い”“その人の考え方”を記号や図、表意文字を使って、議論を促進できることにファシグラの面白さがあると感じました。

イベント中ではペンの持ち方や書き方、模造紙の張り方といった基本的なことまで細かく教えていただきました。矢印一つの書き方をとっても、矢印の太さや線の強弱で表現できることがさまざまありました。

シナリオ・プランニングって何?

シナリオ・プランニングとは

みなさん自身に考えてもらう10年後の未来のテーマを考えてもらうために、各自から、A4の紙に興味のある・考えてみたい分野の単語を書いてもらい、マグネットテーブル(会場を見せ合いながら動いて、似ている人同士がくっつく)で4人一組のチームをつくりました。昼食時間をつかって、自己紹介を行ったうえで、時間軸(5年、10年等)と地理軸(世界、日本、京都、伏見等)を含んだ「未来のテーマ」を考えてもらいました。
※具体的なワークショップの進め方は下で説明しています。

ファシグラ×シナリオ・プランニング

シナリオ・プランニングとは

午後からは各班それぞれ自分たちが設定した未来のテーマでファシグラをしながらシナリオ・プランニング をすすめました。 流れとしては、次の通りです。
1.未来のテーマに関係ある外部環境要因を考えたうえで、それを、不確定度が低いものと高いものにTチャートで分類する。
2.不確定度の高いものなかから、重要度が高いものを抽出する。
3.2つの要因いくつか組み合わせ、未来のテーマを考える上で、一番ぴったりきそうなのを一つ選ぶ。
4.模造紙の上に大きく、二軸のフレームを書き、4つの象限にわけて、それぞれの、シナリオストーリーと内容をあらわすメタファーと名前を決める。
各チームの具体的なテーマと軸は次のようなものになりました。

  X軸 Y軸
A:京都市内の新旧住民の関わり 地域イベント多さ 新旧住民のかかわり
B:京都市内の30−40台の働き方 仕事の自由度 育児支援の充実度
C:京都の心のライフスタイル 住居の集中度 つきあいのオープン度
D:日本における社会人の教育の場 仕事の変化大きさ 学びが受動的か能動的

以下がそれぞれのチームで出来上がった、模造紙です。各領域で起こりそうなストーリーがファシグラされています。

その後、各班で考えた10年後のシナリオを屋台形式で発表しました。ファシグラをしながらのシナリオ・プランニングは難しかったですが、なんといってもファシグラとシナリオ・プランニングは楽しい!ファシグラをすることで、模造紙を使いながら話をしていく様子がひしひしと伝わりました。

子どもがいながらのシナリオ・プランニング

ファシグラ当日の様子

最後にみんなで環になって振り返りをしていた時、「未来を考えるときに子どもがいることをいろいろ言う人もいるけど、未来を考えるうえで子どもがいることってすごく当たり前のことだよね。」という感想がありました。今回のファシグラ研究会ではその場に二人の子どもが居合わせていました。 子どもたちの姿を見ると自然と和んだり、やわらかい発言になったり、幼い視点になれたり、子どもたちがいた場でのシナリオ・プランニングは場に活気がありながらも、和気あいあいと楽しく進んでいったファシグラ研究会でした。

ファシグラ講座に対する参加者の感想

参加者1

シナリオプランニングは、結構大掛かりな手法で、土曜日も、そのごく一部だけをおこないました。でも、みなさんの取り組み、すごく熱心でしたね。

参加者2

複数回参加させていただいています。ファシグラをテーマに沿って使い切るところが醍醐味です。初めて出会った方とチームを組み、ファシグラを使い目標を達成していきます。毎回参加者に学生さんが多く、良い刺激になります。今回のテーマはシナリオ•プランニングで10年後の未来を描くことでした。描く事で内容を可視化し深めることができ、相手の思いも受けとめることができました。自分の10年後を考えたいと思いました。最後に、いつも運営して頂いている方々に御礼申し上げます。

参加者3

「ファシグラ研の醍醐味は『理論よりまず実践』というところ。色々考えるよりまずは描いてみよう、という空気に勇気をもらって、私も描き始めることができたし、今では大人数の前でグラフィックをやることへの怖さもなくなってきました。こういう安心の場を提供いただいて感謝しています。次回もぜひ、参加させてください。」

スタッフ

ファシグラ X シナリオ・プラニング」というあらたな組み合わせの一日ワーク、ちょっとチャレンジでしたが、ファシグラの持っている威力と、みなさんの、未来のことへの取り組む意欲がたかく、とっても創意あふれる、シナリオができたこと、嬉しかったです。ファシグラのスキルから見ると、二軸、Tチャートというフレームワークをチームで使ってみるという実習にもなってました。

今後の開催案内

第19回ファシグラ研究会は2017年3月に予定しています。次回もよろしくお願いします。情報発信は行いますが、人気講座となっておりますので、早めに情報を得たい方はホームズビーFacebookページに「いいね」をするか、個別にお問い合わせください。

ホームズビーFacebookページはこちら

参考文献

  • 「社会変革のシナリオ・プランニングー対立を乗り越え、ともに難題を解決する」 著者:アダムカヘン
  • 「シナリオ・プランニングー未来を描き、想像する」  著者:ウエッディー・ウェイド
  • 「シナリオ・プランニング「戦略的思考と意思決定」 著者:キース ヴァン・デル・ハイデン
  • 「みらい博 あしたのまちの100の風景」 発刊:博報堂生活研究所

参考webサイト

スタイリッシュ・アイデア 新井宏征(あらい ひろゆき) 無料メール講座「変革のための実践シナリオ・プランニング」 (今回許可を得て一部引用) シナリオプランニング活用講座 基礎編+実践編、応用編 東京・大阪にて開催予定
http://www.stylishidea.co.jp/