ファシリテーター必見
2016場作りカレッジレポート
第4講 講師 由佐美加子

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場づくりカレッジ2016 第4講

home's vi 自身が「この人から学びたい!」と思う一流ファシリテーターを招き、参加者とhome’s viスタッフが一緒に学び、深めあう場づくりの学校「場づくりカレッジ2016」。第4講は、応用編として「U理論」訳者の由佐美加子さんにお越しいただき、ファシリテーターとしての在り方や感情の捉え方・扱い方など、自分や他者と向き合う上で大事な要素を2日間レクチャーしていただきました。
事前に具体的なプログラムはないと聞いていたため当日までどんな場になるか全く想像できませんでしたが、home’s vi代表嘉村が「僕も場でこうありたい」と思う人であるとのことなので、この場に参加すれば何か大きなものが掴める、そんな予感がしていました。
当日の参加者はスタッフを含めて約40名、それに対して講師である由佐さんは、2日間ホワイトボードのみを使って圧倒的なプレゼンスのもと場をホールドし、自己の在り方に関する理論を繰り広げながら参加者を終始釘付けにしていました。

講師紹介

由佐美加子

由佐美加子(ゆさ みかこ)さん
合同会社CCC(Co-Creation Creators .LLC)設立者 / オットー・シャーマー著「U理論」訳者
幼少期からヨーロッパ、アジア、米国で育ち、米国大学卒業後、国際基督教大学(ICU)修士課程を経て ㈱野村総合研究所入社。その後㈱リクルートに転職し、事業企画職を経て人事部に異動。次世代リーダーのあるべき姿を模索する中でMIT上級講師ピーター・センゲ氏が提唱する「学習する組織」と出会う。以降、ソーシャルテクノロジーと呼ばれる最先端の人と組織の覚醒と進化の手法を探求し続ける。2005年Appreciative Inquiry(AI)を生み出したデビッド・クーパライダー教授が教える米国ケースウェスタンリザーブ大学経営大学院で組織開発修士号を最高成績で修了。出産を経て2006年よりグローバル企業の人事部マネジャーとして人材・組織開発、新卒採用・育成を担う。2011年に独立、3年後に合同会社CCCを現パートナーと共に設立。2015年よりCCCの活動に加えて新しいパラダイムの子育てとその実践の仕方を共有する活動を合同会社ファミリーコンパスを通して展開する。合同会社ファミリーコンパスパートナー

2日間のダイジェスト

1日目午前-場に対する自分の影響力を見つめる

講座の始めは、「恐れ」や「緊張」といったキーワードから始まりました。
話し合いの場において、恐れや緊張がある場は本音が出ないという意味で危険ですが、最も恐れや緊張を感じがちなのはファシリテーター自身であるということを最初に全体で共有し、「自分の在り方が場にどう影響するのかを見つめる」ことが講座のテーマであることが由佐さんから確認されました。
具体的なプログラムは決めていないということで、参加者の中に今後の進行に対するもやもやが多少ありながらも、これから始まる講座に対する期待や熱意が入り混じった空気でスタートしました。 場づくりカレッジ その後グループになって、参加者それぞれがもつ話し方・聴き方の“クセ”に注目し、その人の“クセ”が場にどんな影響をもたらすのか、なぜそのような“クセ”をしているのかを、ワークを通して見つめました。
由佐さんによると、ある人が話す時、その内容に関係なくその人の在り方が場に影響を及ぼし、それに見合った印象を与えます。
そして、普段は意識されないこの在り方(メンタルモデル)を自覚することで、自分の在り方を自ら選択し自由になることができるとのことです。
このワークを通して、無意識に選択している自分の在り方と場に及ぼす影響の関係性を実感し、場全体が自分の在り方や内面に対して意識が向かっているようでした。

1日目午後 適合と創造

場づくりカレッジ-午後

午後は、本格的に自分の内面と向き合う時間となりました。
まず、自分の内面に抱える「イイ自分」「ダメな自分」との付き合い方について由佐さんから説明がありました。
よく「ダメな自分はあってはならない」と私たちは判断しがちですが、それによってダメな自分を正そうとする「是正行動」が働きます。
しかしそれは非常にエネルギー効率が悪く、もっと効率よくエネルギーを使うためには、まず自分自身が「イイもダメも全部ある」と受け入れ自己一致することが大事であるとのことでした。
この説明を受けて、自分のダメな姿とそれに対する自分の是正行動について小グループで考え、そして、それは「どんな体験をする自分が嫌」だからなのかを深堀しました。
共有の時間では、参加者から、ダメな自分として「人にわかってもらえない自分」「ちゃんとしていない自分」などが挙げられ、由佐さんはこれに対して発言者に問かけながら「~しなければならない」という参加者のとらわれを丁寧に紐解いていきました。
この時間、由佐さんの問いかけにより参加者が無意識に抱える自分のとらわれに気づき「ハッ」とする場面が何度も見られ、それにともなって場も共感し熱量がどんどん高まっていきました。
そして最後に、この「~しなければならない」というとらわれによる在り方と、そこから自由になった時の在り方について、由佐さんは「適合」と「創造」という言葉を使って整理しました。

適合…思考や行動の起点が外にあり、「期待に応えよう」「うまくやろう」という意識に基づく在り方。これは内の自分とは分離したものになるので、恐れや不安が生じやすくなる。
創造…思考や行動の起点が内にあり、「私は何にもなれない」「私は私であり続ける」という内の自分に基づく在り方。したがってそこに評価判断や分離は無く、外的環境に対して「ただ自分を感じる」だけなので恐れや不安から解放される。

この日、自分の在り方が場にどのような影響を及ぼすか、そして適合と創造という概念を学び、場には「何かを掴み始めた」そんな前向きな変化と翌日に対する期待が溢れていました。

2日目午前 起点をmanageする

由佐美加子

2日目は、まず1日目に学んだ適合と創造という概念に基づいて「起点を外から内に転換する」という練習をしました。
「AさんとBさんは仲が悪い」
「Cさんは会議でいつも意見を聞いてくれない」
など、私たちが普段職場や生活の中で不快感を抱きがちなこうした事象に対して、「起きたこと」と「自分の反応」に分離し、出来事を解釈するのではなく純粋な体験として捉えることで感じ方が全く違うことを体感しました。
また、もう一つ、私たちが不快感を抱きがちな「文句」や「グチ」といった行為に対しても起点の考え方から捉え直しました。
由佐さんによると、この二つにはいずれも「本当はこうあってほしい」という願いやエネルギーが隠れているため、そこに目を向けることが大切であるとのことです。
参加者は、このように外的事象に対して起点を転換する考え方に共感しながらも、組織で苦悩を抱える人にとっては「本当に現実で通用するのか?」という戸惑いが残っているようでした。
由佐さんへの質問時間ではこうした想いが表出し、参加者自身が抱える組織の問題を事例に由佐さんの知見が共有され、これによって他の参加者にも理論がより実践的なものとして感じられたようでした。

2日目午後-見て、感じる


NVC

午後は「怒り」の感情を例に、起点を内に転換する上で大切な「見る」「感じる」ということがどういうことなのかを考えたあと、エンパシーサークルというワークをおこないました。
このワークでは、4人一組になって話し手が今もやもやしていることや気になっていることを話し、聴き手はその話す様子から、その出来事は話し手にどういう感情を引き起こし、その感情はどんなニーズ(*)を満たしたいから起こっているものなのか、「見て、感じる」ことをフィードバックします。
そして、話し手はそれを受けて自分の内にどんな生命エネルギーが宿っているのかを感じます。
このワークによって、話し手が、解決方法がわからずもやもやしていたことに対して起点を転換することで、その解消のヒントとなる大きな気づきを得て表情が明るくなった場面が印象的でした。

*ニーズ
NVC(非暴力コミュニケーション)で用いられる概念で、様々な感情を生み出す根幹となるもの。感情はニーズを満たすためにあり、ニーズを満たせないと不快感を感じる。

外にある感情(エネルギー)の起点を外から内に転換するためにはまずこのニーズを認識することが必要で、それを満たすことによって自然と不快感が解消される。

このように、2日目は自分に不快感をもたらす外的事象に対して起点を内にした向き合い方を体感し、参加者それぞれが新しい視点を身に付け、少しだけ自分が変わったような感覚と「さっそく明日から実践していきたい」という意気込みを場から感じました。

2日間の講座を終えて

場づくりカレッジ集合写真

2日間の講座を通して、たくさんの質問が参加者から出てきました。
その際由佐さんは、どんな質問が来ても全くぶれることなく自身の経験と観察に基づいた理論を展開し、場に何度も大きな気づきと共感の渦を巻き起こしていたのが印象的でした。
また、この時、由佐さんが質問を受けてから返答するまでのスピードはとても早く、それにも圧倒されてしまいました。
ここに至るには恐らく相当な量の経験と観察が必要で、表面上の情報に惑わされずどんなことでも疑いの目を持って見ることが大事であるということを、由佐さん自身が体現しているようでした。

そして、今回の講座で重要な「起点を外から内に転換する」という考え方は、外的環境をいかに変えられるかで悩んできた多くの人にとっては大きなパラダイムシフトです。
この新しい考え方を知り、体感したことで、「何か変われそう」と感じた参加者も多かったように感じます。
自分自身、この講座を受けて何事に対してもまず自分や他者の内面を感じようとするようになり、それによって少しだけ心と体が軽くなったように感じました。
そしてこのような体験が、おそらくこの講座を受けた参加者一人ひとりにあったのではないかと思います。
2日間、自分の在り方に目を向けるとても貴重で充実した時間となりました。
改めて講師の由佐美加子さんに感謝したいと思います。

Written by homes' vi internship member of Koto Mineo

一般 38,000円(税込)
NPO(専従の方) 33,000円(税込)
学生(23歳以下) 28,000円(税込)
※割引について
場づくりサミット(7/31開催)に参加した方は、場づくりカレッジ参加費が各3000円引き。全講座参加予定の方には まとめて割引が適応されます。一般枠:160,000円 、NPO枠:150,000円、学生枠:120,000円となります。

NPO、学生の方は、通常料金よりも割引してご案内しておりますので、イベントページの周知など、広報面でご協力頂ければ幸いです。

第1講は終了しました。

第2講は終了しました。

第3講は終了しました。

第4講は終了しました。

キャンセルポリシー

実施日14日前までのご連絡 ⇒ 無料
実施日13日~7日前までのご連絡 ⇒ 料金の50%お支払い頂きます。
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※講座の日時・内容等は予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。

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